延命治療を拒否して、自然に死を迎えるための文書
もし、あなたが事故や病気で回復の見込みがない脳死状態になったら「どんな手立てを講じても良いから、1秒でも長く生かして欲しい」と思うでしょうか。それとも、苦痛を緩和する以外は医学的な措置を施さず、自然な死を迎えたいと願うでしょうか。
答えはもちろん、人それぞれでしょう。しかし、最近は過剰な延命措置に疑問を抱き、「尊厳死」(延命措置を差し控えたり注して自然な死を迎えること)を望む人が増えています。
厚生労働省の調査では、自分が余命6ヶ月以内の末期で回復の見込みがない場合に、「延命措置は望まない」「どちらかというと望まない」と考える人が7割にのぼったそうです。また、終末医療について書面で意思表示する「リビング・ウイル」については6割が賛同しました。
しかし、本人にそのような希望があっても、何の基準もしていなければ、実際にそのような状態になったときに希望をかなえうるのは難しいといわざるを得ません。本人はもう意思表示できないし、家族は本人の意思を知っていても、本当に延命措置を停止してよいか迷うはずです。
現在、日本については尊厳死についての法律がないため、そのような文書があっても確実に実現される保証はありません。とはいえ、日本尊厳死協会の調査によると、実際に末期状態になって「リビング・ウイル」を提示した場合、9割以上の医療関係者が本人の希望を受け入れたことから、実現の可能性は高いと思われます。