- 財産を守れる
- 治療費や介護費用を調達しやすい
- 現在の生活を維持できる
- 親族の相続が発生したときに対処できる
- 親族間のトラブルを防止できる
- 家族に介護問題に対処できる
財産を守れる
判断能力が低下して本人が財産管理が出来ないのにつけ込んで、誰かが勝手に預貯金を引き出したり、不動産を売却したりするようなことを防げます。
もし、誰かがそのようなことをした場合は、任意後見人が訴訟を起こすなどして財産を取り戻すことが出来ます。
また、任意後見人が預金通帳や実印など重要なものを管理することで、本人が浪費したり、悪徳商法などの被害にあわずにすみます。
治療費や介護費用を調達しやすい
入院や介護のためにまとまったお金が必要になったとき、任意後見人が不動産の売却や定期預金の解約などを行えるので、速やかな資金調達が可能です。
もし任意後見契約を結んでいない場合は、本人に代わって手続きの出来る人(法定後見人)を家庭裁判所で選んでもらう必要があります。しかし、通常、その手続きには数ヶ月から半年程度かかるので、その間本人が適切な治療や介護が受けられないおそれがあります。
現在の生活を維持できる
任意後見人が本人の財産や年金などを管理して生活費の支払いなども代行してくれるので、電気が止められたり税金の滞納で自宅を差し押さえられたりといった事態を避けられます。また、入院や介護に必要な費用の支払いが滞らず、本人は安心して治療や介護を受けられます。
任意後見人には、本人がきちんと治療を受けているかどうかなど、生活の状況に注意を払う義務もあるので、介護施設の待遇に問題があるような場合は、施設に問いただしたり、行政に不服申し立てをすることも出来ます。
親族の相続が発生したときに対処できる
親や子供、独身の兄弟などがなくなると、本人は殻らの財産を相続する権利が発生します。
しかし、本人は判断能力が低下しているので、遺産分割協議に参加で傷相続手続きが行えません。もし、故人が借金を抱えている場合、そのまま相続すると困ってしまいます。
このような場合に任意後見人がいれば、本人の代わりに遺産分割協議に参加したり、相続放棄や限定承認(相続財産の限度で借金を負担すること)出来るので安心です。
親族間のトラブルを防止できる
子供が親の面倒を一生懸命見ているつもりでも、周りからは子供が親の財産を好き勝手に使っているとか、まじめに面倒を見ていないなどとと誤解されることがあります。
しかし、任意後見契約を結んでいれば、子供が権限に基づいて財産を管理し、きちんと世話していることを証明しやすくなります。
財産管理等の委任契約と違って、第三者(任意後見監督人)が任意後見人が義務を果たしているかチェックするので、その分、信頼性が高いといえるでしょう。
家族の介護問題に対処できる
最近は、高齢者同士で介護をする「老老介護」が問題になっています。
認知賞の配偶者の世話を、もう一方の配偶者が行うという場合も良くあります。また、重度の知的障害を持つ子供を年老いた親が介護しているケースもあります。
このような場合に介護者自身がぼけてしまうと、介護を受けるほうも困るし、介護者自身もサポートしてくれる人がいなければ困った状況におかれます。
この場合はまず、本人(介護者)が元気なうちに信頼できる第三者と任意後見契約を結ぶことが考えられます。
将来、本人がぼけると家族の世話が出来なくなるので、そのときは家族に法定後見人をつける必要があります。そして、すでに判断能力が低下した本人に代わって、任意後見人が家族の法定後見人を選任するための手続きをすることになります。
なお、この場合は任意後見契約を結ぶほかに、本人が介護している家族に財産を相続させるように遺言したり、信託銀行を利用して本人の死後、家族が定期的に生活費を受け取れるような対策を立てたりすることも考えたほうが良いでしょう。